本記事は、上記のような疑問を持つ方に向けて書いています。
この記事の内容は以下の通りです。
「英語」の扱いは教育現場や受験でどのように変わっていく?
本記事の執筆者である私は、大学で社会言語・第二言語習得論について専攻していました。
元某大手英会話スクール講師
中学校・高校教諭第一種免許(英語)取得
海外インターン経験者/第二言語習得論などを主に専攻
AIや自動翻訳機の開発が進み、もう英語を習得する必要なんてないのでは?と思っている方もいるのではないでしょうか?
結論から言うと、どれだけテクノロジーが進化しても英語は話せるに越したことはないです。むしろ教育現場では、以前よりも英語教育に重点を置いていると言えるでしょう。
現在は外国語が小学5年生から教科として扱われ、成績がつくようになりました。その影響もあってか中学受験でも「英語」が受験科目の対象になる学校が急増しています。
今回は、今後も英語が必要な理由について、今後予想される社会的背景を元に詳しく解説していきます。
また、過渡期にあると言われている英語教育が学校や受験でどのように変わっていくのか、どのような対策が必要なのかについてもご紹介していきますので、ぜひ最後まで読み進めて見てください。
英語学習がこれからの時代も必要な理由
繰り返しにはなりますが、これからの時代も英語は必須です。むしろ、今後の方が英語のニーズは高まっていくでしょう。
その理由は以下の4つになります。
- 日本の人口減によるマーケットの縮小
- 英語力を問う国内企業が増えているから
- 海外メディアの情報も手に入れたるめ
- 自動翻訳機やAIでは完全なコミュニケーションはできないから
順番に解説にしていきます。
人口減によって日本のマーケットが縮小していくから
日本では少子高齢化が社会問題となっていますね。そして高齢者が減っていくにつれて、どんどん日本の人口自体も減っていきます。
そうするとどうなるかというと、日本のマーケットがどんどん小さくなっていきます。
デフレが止まらない日本は今後貧しくなっていき、外資系企業に飲み込まれていく企業も増えていくでしょう。
これはひろゆきさんや、中田敦彦さんのYOUTUBEチャンネルでも取り上げられています。
つまり、これまで以上に外国人とビジネスをする機会が増えていき「英語くらいは話せないと仕事にならない」と言えるでしょう。
あるいは、英語を話せたら貧しい国になりつつある日本を出ると言う選択肢も現実味が出てきます。
少なくとも、子どもたちがそうしたいと思ったときに「英語が話せないから無理」と言うような思いだけはさせたくないなと、個人的には思っています。
英語力を問う国内企業が増えているから
日本のマーケットが縮小するに伴い、国内企業はどんどん海外へ向けたビジネスを展開していく必要があります。そうなると必然的に英語が必要になります。
【英語の必要性】日本の人口減る→日本のマーケット尻窄み→日本は海外にモノ売るしかない→日本語でなく外国語仕様で売るしかない→英語利用者が世界は多数派→英語が必要
というロジックです。でなければ、他力本願でGoogle翻訳の進歩を全力で応援するしかないと思ってます草 https://t.co/wmFllSh55O— チャド@外資系ゆとりサラリーマンの俯瞰な日常 (@takamaru0910) May 20, 2022
現在でも、大手企業では採用の際にTOEICのスコアが問われています。以下の表で、求めるTOEICのスコアが開示されている企業のみご紹介します。
TOEICスコア | 企業名 |
---|---|
860点以上 | 野村ホールディングス(グローバル社員)、NTTコミュニケーションズ、パナソニック(国際広報担当) |
800点以上 | 野村不動産 |
700〜730点以上 | ファーストリテイリング、ソフトバンク、武田薬品、ヤマト運輸、東京電力、NTT東日本、三菱自動車(事務職) |
650点以上 | アサヒビール、佐川グローバルロジスティクス、シチズンホールディングス |
600点以上 | 出光興産、王子製紙、大正製薬、ニトリホールディングス、大和ハウス工業など |
参照:en world公式HP
また楽天や富士通、トヨタ自動車などでは昇進の条件としてTOEICのスコアが求められ、今後はますますこの流れが加速すると言えます。
偏った情報に惑わされないようになるため
世界情勢が不安定な昨今、改めて情報を自分で取りに行く力が重要であると言えます。
意外と気づかないものですが、日本のニュースやネット記事だけでは情報がだいぶ偏ってしまうもの。
偏りのない中立的な情報をたくさん集めることできるという点だけ取っても、英語が理解できるって十分メリットがあると思う。
その上で情報の取捨選択、自分の意見を持つこと。
これからの時代のこどもに求められることって、きっとそういうことなんだろうな。#こども英語 #おうち英語— キコ@元英会話スクール講師✏️ (@kiiy2021) February 26, 2022
実は「国境なき記者団」による“報道の自由度ランキング”では日本は180カ国中71位にランク付けられています。(2022年)
これはG7の中では最下位に値し、分類で言うならば「問題あり」に該当します。
参考(英文)
・RSF’s 2022 World Press Freedom Index (国境なき記者団による2022年度報道の自由度ランキング)
でもこれ自体が日本にとっては不都合な真実であるため、大々的に報道されたりしないですよね。
もっと客観的に、物事を多角的に見るためにも、海外メディアの情報も難なく理解できるようにしておきたいですね。
自動翻訳機やAIは完全なる味方ではないから
実際に、昨今では自動翻訳機の性能も向上しています。しかしいくら自動翻訳機が普及したとしても、会議中に発言のたびに自動翻訳機を使っていたら、コミュニケーションはままならないでしょう。
機械では、どうしても細かなニュアンスまでは伝わらないもの。そして、そういう細部にこそその人の人間性が垣間見えるものです。
例えば重要なビジネスシーンで、契約するか否かと言う状況。
翻訳機を使っている人と外国語を学習して自分の言葉で伝えている人-どちらが魅力的かは一目瞭然ですよね。
自動翻訳機では気持ちのこもったコミュニケーションを図ることができません。そこまで機械化してしまうのは、なんだか寂しい気がしてしまいますね。
知人
今翻訳機凄いのに今後英語教育いる?というので世界共通語の英語で皆直接喋ってる中、自分だけ機械挟んで会話ってどう?自分も直接喋りたくならない?日本もこれからそんな世の中になるのに、英語教育本当にいらない?
コミュニケーションは心の繋がり。機械を通してたらその感動は半減する。
— Kay (@Kay51933770) December 5, 2021
また、AIの普及はまだまだ未知数。効率化を図ることができて便利になる一方で、人間の仕事が淘汰されてしまう危機にもなり得ます。
2020年に行われたマッキンゼーカンパニーの調査によると、「日本では2030年までに既存業務のうち27%が自動化され、結果として1660万人分の雇用が代替される可能性がある」とされています。
ですが、コミュニケーション能力が不可欠な仕事はAIによって自動化されにくいと言われています。
AI時代だからこそ、言語の壁を超えてコミュニケーションを図る姿勢は重要であると言えるでしょう。
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今後の英語学習はどう変化する?
国の定める学習指導要領は常に時代に合わせて見直され、英語は特に近年目まぐるしく変化しています。
記憶に新しいのは、2025年度から記述式問題大学入学共通テストで英語の民間試験が採用される予定だったこと。
これは「聞く」「読む」だけではなく、「話す」「書く」を交えた4技能の英語スキルを図るのが目的でした。
しかしこれらはどうしても採点者による差異が出てしまうため、公平さを損ねるとの理由で、結果的には断念しています。
ですが私大を中心に、民間試験を活用する学校は増えています。
また東京都では2022年から都内の公立中に通う3年生を対象に、民間業者と共同で「中学校英語スピーキングテスト(ESTA-J)」を実施する予定です。
冒頭でも触れた通り、小学5年生から英語が「教科」扱いされて成績がつくようになったことで、中学入試でも英語を導入する学校が増えています。
そもそも、私立中は公立のようにアルファベットから手取り足取り教えてくれるとは限りません。
ある程度は理解できているという前提で授業が進むので、私立中入学と同時に急遽英会話スクールに通い始める生徒さんもいたほど。
このように英語教育は日本の受験界においても過渡期を迎えていると言っても良いでしょう。
もっと言えば、幼少期から英語に慣れ親しみ、小中学生のうちに民間試験で良いスコアを取ってしまいさえすれば、受験英語はイージーモードに突入するとも言えます・・!!
現在の日本の英語教育と今後の目標
国は英語力を“CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)”という国際的な指標で測っています。
文科省が目標とするのは以下の通りです。
・中学卒業段階: CEFR A1上位(英検3級程度)以上
・高校卒業段階: CEFR A2〜B1(英検準2〜2級程度)以上
上記を、それぞれ約50%(半数)の中高生が達成することと定めています。
2021年度の結果はどうだったかというと、中学3年生で47%が達成、高校3年生で46.1%が達成となっています。
各試験との比較は、以下の表を参考にしてください。
参照:文部科学省「英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針」資料
2021年より中学英語では、オールイングリッシュで授業を行うことが基本となっています。
また3年間で習得する単語は1200語→1600〜1800語へと増加し、高校で習う複雑な文法(仮定法など)も中学英語へと前倒しになりました。
このように、国をあげて日本での英語教育をより高度なものにしていこうという動きがあります。この流れは今後加速していくでしょう。
まとめ:「英語が話せる」は豊かな人生への切符
- 「英語ができる」はこれからの時代は必須事項になる。
- 人口が減って日本のマーケットが縮小されていく以上、海外も視野に入れたビジネス展開が必須。
- 世界情勢が揺らぐ中、受け身でいるのではなく積極的に国外の情報も取りに行けるようになる。
- 自動翻訳機やAIに頼り過ぎない。コミュニケーション能力は人間の武器。
- 今後ますます高度な英語教育が、日本では求められる。「読む」「聞く」だけでなく「話す」「書く」対策も重要。
今回は、今後も英語が必要である理由について解説してきました。
英語が話せることで得られるメリットはいっぱい。「英語を話せる」はこれからの時代も十分に武器になり得ます。
そして幼児期は、音楽を聞くように感覚的に英語を学んでいけるチャンス。
下記ブログでは、元英会話講師である私が最も効率的で定着しやすいと考えている英語学習法について5ステップでご紹介しています。
ステップ1は、今日から簡単に取り入れることができます。お子さんの豊かな人生のためにも「英語を話せる」という安心感・アドバンテージを与えてあげましょう!